お葬式の際、例えば門前に、あるいは祭壇の付近に、ちょうちんが設置されている光景を見ることがあると思います。この時、様々な名入れが施されていることもお気づきでしょう。
これらのお葬式提灯は、伝統的なデザインが昔から使用されており、今も変わりなく同じ名入れ文字が入れられています。
そこで今回は、お葬式提灯に入った名入れ文字の意味について考えてみます。中には、あまり見かけない物もあるので、いざという時の為に知っておくと役立ちますよ。
定番の御霊燈提灯の意味は?
もっとも多くのお葬式で見られる名入れちょうちんで、門前に吊るされていることが多くなっています。葬儀屋さんが用意してくれる事が多く、提灯立てとセットとなって設置されています。
提灯立てにも様々な物があり、焼杉で作られた豪華な物や青竹で組み上げられた物などございます。
御霊燈とは?
御霊燈は『ゴリョウトウ』と読み、死者の魂を送ったり、迎える意味を持っています。一つで設置することは基本的にはなく、左右一対で置かれています。これは陰陽と言うすべての根幹にある考えが反映されている物で、そのルーツは神前や仏前に置かれていた燈明に行き着きます。
ご覧頂くことが多い御霊燈提灯ですから、この様な意味が込められていることを認識していると、心持ちが違うかもしれません。
忌中と書かれたお葬式提灯の意味は?
お葬式の会場や四十九日間の間に度々見かける忌中提灯。文字の印象として、ご不幸があったことを用意に想像できる文字です。
この忌中に関しては、使用するご家庭、忌み嫌うご家庭が存在しており、色々と考えさせられる文字となっています。
忌中とは?
忌中は『キチュウ』と読み、喪に服していること、そして祝い事などを慎んでいる期間を意味し、四十九日間はこの忌中とするのが一般的です。
ただ現代では、本質的な意味は失われた感があり、お葬式の際に使われる装飾品と見られる傾向があります。なお忌中は、死者が残す死の穢れを他人に移すことがないように、こもって過ごす期間だとも言われています。
忌中の期間は、忌引として学校や会社を休むことが認められておりますが、一般的に葬儀が終わると忌引期間は終えることが多いでしょう。
還浄と書かれたお葬式提灯の意味は?
提灯に書かれていなくとも、たまに見かけることのある還浄と言う言葉。見るからにお葬式っぽい言葉だと思いますが、具体的にどんな意味があるのか気になるところです。
還浄とは?
還浄は『ゲンジョウ』と読み、死者の魂が極楽浄土にお還りなったと言う意味を持ちます。お葬式の際、提灯などに入れられる文字には、宗教的な意味や概念があり、一部では忌中と言う言葉は死を忌み嫌うもの、穢れたものとして嫌い、そのかわりに還浄を使おうと考えているようです。
その為、還浄と提灯に書かれているお宅では、お葬式には付き物と思われる清めの塩を付けません。これは死を仏様になったとする考えがあり、穢れたものではないとする考えからのようです。
なお還浄は、浄土真宗でよく用いられる言葉であり、西日本のお葬式でよく見られる言葉だと言われています。
〇〇家 & 家紋が書かれたお葬式提灯について
なんだかんだでもっともよく見られるお葬式提灯のデザインは、この名入れや家紋入れではないでしょうか?
その家のお葬式なのですから、当たり前と言えば当たり前ですが、これはある意味、欠かすことの出来ないものでしょう。
お葬式が終わり、初盆までの間に新しい提灯を作る、もしくは贈る際は、名入れや家紋入れを行った物を贈ると使いやすいと思います。
お葬式提灯は色々な種類がありますが、文字が書かれる物は、ご紹介してきた様な文字が入れられます。それぞれの意味を踏まえて、ご理解頂ければと思います。